DFP Africa Startup Brief (2025年6月実績(速報ベース))

アフリカのスタートアップ業界は、外部からは動きが見えにくい領域です。DFP Africa Startup Briefでは、アフリカ在住のDFPスタッフが現地で収集した資金調達やM&Aなどの案件情報を、解説とともにお届けします。

1. アフリカ・スタートアップ資金調達動向(公開情報に基づく速報ベース)

(1)2025年6月

2025年6月には、18社が計364.8百万ドル(前年同月比418%増)の資金調達を行いました。内訳を見ると、いわゆるBig 4諸国(エジプト、ケニア、ナイジェリア、南アフリカ)が件数でみて67%を占めたものの、アルジェリア、エチオピア、ガーナ、セネガル、タンザニアというBig4以外の国のスタートアップも調達を成功させました。

アフリカ・スタートアップ資金調達(2025年6月)

案件ベースでみると、西アフリカで事業を拡大させているセネガルのUnicornであるモバイルマネー企業Wave社が、英国・フィンランド・ノルウェーの開発金融機関などからDebtで130百万ドルの大型の資金調達を行ったほか、ケニアでクリーンな調理ストーブの開発・製造・流通を行うクリーンエネルギー企業Burn社が、将来のストーブ導入によるCO₂削減クレジット収益を担保にCOMESA(東南部アフリカ市場共同体)の開発金融機関であるTDB Groupから80百万ドルの資金調達を行うなど、大規模なDebt調達が行われました。

また、中古車マーケットプレイスのPeach Cars社のSeries Aに、スズキ・グローバル・ベンチャーズ、ごうぎんキャピタル、JBIC、UTEC(東京大学エッジキャピタル)が計15億円出資したことも注目を集めました。Peach Cars社は、従来リスクの高かった個人間中古車取引に対し、検査(288項目)→売買(透明な価格体系)→整備→融資→アフターサポートまでを包括的に提供することで、「信頼できる中古車購入体験」を提供するスタートアップ企業です。

資金調達額トップ3
セネガル/ Wave (Fintech):137百万ドル/ Debt
ケニア/ Burn (Clean Energy):80百万ドル/ Debt
タンザニア/ Wingu Africa (Data Centre):60百万ドル/ Debt

日系投資家による投資
ケニア / Peach Car(中古車マーケットプレイス):10百万ドル / シリーズA
出資:スズキ・グローバル・ベンチャーズ、ごうぎんキャピタル、JBIC、UTEC(東京大学エッジキャピタル)

(2)2025年1~6月累計

2025年に入ってからのアフリカのスタートアップの資金調達(1~6月累計)は、金額ベースでみると前年同期比66%増となる1,334百万ドルを記録しました。他方、同期間のディール件数は前年同期比68%減となる148件にとどまっています。

平均調達額(チケットサイズ)を見ると、2024年第2四半期を底に、以来、増加を続けています。ラウンドごとで前年同期と比べると、Series Bを除くすべてのラウンドでチケットサイズが拡大しています(注:Series Bは件数が少なく個別案件の影響を受けやすい)。これは今年、ベンチャーキャピタル業界で世界的に見られる少数の”higher conviction bets”へのシフトと整合的であり、アフリカでも投資案件の選別が進んでいることを示唆するものと思われます。

2. アフリカ・スタートアップM&A(公開情報に基づく速報ベース)

2025年6月には、11件のアフリカ・スタートアップ関連M&Aが報道されました。これにより、2025年に入ってからのアフリカのスタートアップに関連したM&A件数は1~6月累計で46件(前年同期比92%増)を記録しています。

ケースDFPによる解説
公表日:2025年6月2日
買収企業:ナイジェリアMoniepoint(Fintech)
被買収企業:ケニアSumac Microfinance Bank(金融)
買収額:未公表
アフリカを代表するナイジェリアのFintechユニコーンMoniepointによる、ケニアの中堅マイクロファイナンス銀行Sumacの株式78%の取得。これによりMoniepointはケニア市場に一気に進出。
公表日:2025年6月3日
買収企業:ウルグアイdLocal(Fintech)
被買収企業:ケニアAZA Finance(Fintech)
買収額:150百万ドル
南米ウルグアイのFintechユニコーン(クロスボーダー決済プラットフォーム)dLocalによる、ケニアの同業AZA Finance社の買収。アフリカでのクロスボーダー決済とFX市場への本格参入により、世界の決済業者としてのポジション確立につながる一手となった。
公表日:2025年6月10日
買収企業:ナイジェリアFirst Ally Capital(総合金融グループ)
被買収企業:ナイジェリアMigo(Fintech)
買収額:非公表
ナイジェリアで幅広い金融サービスを展開するFirst Ally Capital社によるMigo社の株式60%の取得。Migo社のAIを用いた信用評価技術を取り込むことで、金融包摂分野での事業拡大が進む。
公表日:2025年6月10日
買収企業:カナダ・ケニア・セネガルSolar Panda(再エネ) 
被買収企業:ザンビアVitalite Zambia(再エネ) 
買収額:非公表
オフグリッド農村地域に太陽光発電設備などをPaygo形式で提供するSolar Panda社による、ザンビアの同業企業VITALITE Zambiaの買収。これによりSolar Panda社は南部アフリカ(ザンビア)に進出し、10万人超の既存顧客を即座に獲得。
公表日:2025年6月11日
買収企業:ナイジェリアCreditchek(Fintech) 
被買収企業:米国Creditcliq(Fintech) 
買収額:非公表
ナイジェリアのB2B向け信用データ・プラットフォーム会社による、ナイジェリア人が創業した米国拠点の移民向け国際信用履歴翻訳プラットフォーム会社の買収(100%)。アフリカからの移民が自国での信用履歴を海外に持参可能にすることで、移民コミュニティの金融包摂を促進。
公表日:2025年6月17日
買収企業:カナダ・ナイジェリアLemFi(Fintech)
被買収企業:英国Pillar(Fintech)
買収額:非公表
ナイジェリア発の移民向FintechスタートアップLemFi社による、英国の移民向FintechスタートアップPillar社の株式100%の取得。Pillar社は信用スコア技術及びクレジットカード発行が行えるライセンスを有しており、LemFi社は「送金」から「クレジット」にサービスを拡大し、「移民向けスーパーアプリ」となる第一歩を踏み出した。
公表日:2025年6月17日
買収企業:米国ACKWEST Group(持株会社)
被買収企業:南アSafiyo(市場調査)
買収額:非公表
2024年設立の1st Party Dataの調査会社による、南アの市場調査会社の買収(100%)。Safiyo社は、アフリカ15か国に展開しており、ACKWEST社はアフリカ15ヵ国以上の現地データへのアクセスを獲得し、Emerging Marketsにおけるデータ提供力を大幅に強化。
公表日:2025年6月18日
買収企業:エジプトiSchool(EdTech)
被買収企業:サウジアラビア・エジプトSEEDS(EdTech)
買収額:非公表
エジプトの小中高校生向け教育プラットフォームによる、サウジアラビアのソフトウェア企業のEdTech部門の買収。被買収会社のカリキュラム・教師ネットワークの買収によりサウジアラビア展開の即時加速を実現。
公表日:2025年6月23日
買収企業:ナイジェリアChowdeck(食品デリバリー)
被買収企業:ナイジェリアMira(ソフトウェア)
買収額:非公表
ナイジェリアのデリバリープラットフォームによる、飲食業界向けPOS(販売・在庫管理・注文・決済)ソリューション提供会社の買収(100%)。これによりChowdeck社は単なるデリバリープラットフォームから、店舗パートナーの業務管理までを手掛けるフードテック企業に進化。
公表日:2025年6月25日
買収企業:ナイジェリアBAS Group(投資金融サービス)
被買収企業:ナイジェリアZuvy Technologies(Fintech)
買収額:非公表
ナイジェリアで多角的な金融サービスを手掛けるBAS Group社が、インボイス・ファイナンスによる中小企業向け貸付を手がけるFintech企業Zuvy Technologies社の買収(過半数株式の取得)。これにより、BAS Groupはインボイスベースの無担保金融を提供できるようになり、中小企業向け金融サービスを拡充。
公表日:2025年6月27日
買収企業:南アLesaka Technologies(Fintech)
被買収企業:南アBank Zero(デジタルバンク)
買収額:61.4百万ドル
南部アフリカのアンダーバンク層に特化したFintechスタートアップのLesaka Technologies社による、同国のアプリ主導型デジタルバンクの買収(100%)。Bank Zeroの保有する銀行ラインセンスにより預金獲得が可能となり、Lesakaは決済・融資を行うFintechから総合金融グループへと進化。
(参考)アフリカ・スタートアップに関連したM&A動向(累計件数)

免責事項|Disclaimer

本資料は、情報提供のみを目的として株式会社Double Feather Partnersが作成したものであり、特定の証券、金融商品、投資戦略の購入、売却、保有等を勧誘・推奨するものではありません。また、本資料に含まれる意見、予測、見解等は作成時点におけるものであり、事前の通知なしに変更されることがあります。記載された内容の正確性・完全性については万全を期しておりますが、その保証をするものではありません。投資に関する最終判断は、読者ご自身の判断と責任において行っていただくようお願いいたします。